2010年11月の記事一覧

初演は見た事がないので、これが初めての「母を逃がす」。昔TV放送したものも持ってはいるが見ていないので、まっさらの状態で観劇。
場所は東北のとある農場。そこに独立国家よろしく独自の集落を作って暮らしている「クマギリ第三農楽天」。
いわくつきの者たちが暮らすその集落で、ある日、物が盗まれたり、豚が殺されたり、という事件が起こる。
ライバルである「シカノバル」に襲撃されてると言う頭目代行の裕介。裕介はこの集落をもっとよくしようと、処刑台を作ったりいろいろするのだが、そこに流れ者がやってきたり、刑務所に入っていた兄が釈放されたりで混乱に向かっていく。
あらすじはそういう感じか?

すごい閉塞感の中の話なんだけど、なんだかみんなひょうひょうとしていて、「こんなんじゃ希望なんて何もない」と思いながら、それでもなんとなく生きている姿が不思議にかわいく見える。
人間ってこういう風に迎合して生きていけるんだなあ、というか。

一番悩んでいたのはたぶん裕介で、母親をなんとか救いたいと思っていたわけだよね。きっと。
でも、母親はそんな憐れには思って欲しくないというか、その中でも幸せはあったんだよね。
そういう気持ちを全然分かっていない裕介。
優しい母親思いの息子なんだけど、なんかずれてるんだよね。人とちゃんとコミュニケーションが取れない。
だから処刑台とか作っちゃうし、クーデターとか起こされちゃって、結局自分の意図とは真逆の方向に話が展開していく。
でもまあ最後一応ハッピーエンドみたいだからいいか。

それから宮藤さんがかっこいい!んもう素敵すぎる。
良々とのコンビも最高!

それにしても松尾さんに何があった?
あの紅白風な茶番カーテンコール。笑ったけど、ちょっと心配になっちゃったよ。

公演:大人計画「母を逃がす」
場所:本多劇場
日程:11月15日~12月19日
作・演出:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ・宮藤官九郎・池津祥子・顔田顔彦・宍戸美和公・宮崎吐夢・猫背椿・皆川猿時・村杉蝉之介・田村たがめ・荒川良々・近藤公園・平岩紙・少路勇介・松尾スズキ
座席:B列センターブロック 6,200円
時間:2時間30分

葵太夫さんの浄瑠璃を使った、扉座ならではのお芝居、今回の原作は小池一夫さんの「首斬り朝」。
とある廃寺。そこにいる老婆。老婆の元にやってきた子悪党。彼に辛くも命を助けられた老婆は自分の過去の話を始める。それは江戸時代の死刑執行人の役目の「山田朝右衛門」の話で…。
たぶんそんな感じだと思う(電車が遅れて最初5分くらい見られなかったので違ってたらごめんなさい)

原作は読んだ事があるので、小池さんの原作をどういう風に舞台化するのか、その辺りの興味を持ちつつ、厚木まで足を運びました。
やっぱり目にとまったのは、朝をやった岡森さん。
三代目の首切りの朝の、仕事を淡々と誠実にプライドを持ってこなす姿が、小池さんの世界からそのまま出てきた感じ。
語りの中原さんも良かったなあ。すっかり老婆役者が身について(苦笑)。最後の表情とかも素敵。

老婆の口から自分の若い頃にどんなことが起こったのかを2時間かけて語られるわけだが、極刑に送られる者の気持ちや、その周りの者の気持ち、また極刑を行う者の気持ちが交差して、やっぱり原作の持つ力は偉大だな、と。
もちろんその原作を破壊することなく脚本化する横内さんの手腕もなかなか見事。
ただ、厚木だからか小さめの芝居になっちゃったなというのが気になった。初日だからか?
もうちょっと広がりのある芝居ができるようになるといいねえ。

ずらずらと人を出してくるのも、私は個人的にあまり好きではない。
人を出せば出すほど全体の芝居が小さくなるような気がする。

あと苦言を言うと、犬飼淳治・岩本達郎・鈴木里沙のこの三人のセット販売はそろそろやめてほしい。いつもいつも同じで飽きる。
犬飼くんとかもっとできる役者なのになあ、こんな小さな役ですませるなんてもったいない。
有馬さんのああいう使い方もいつもすぎる。もうちょっと配置換えとかいろいろして欲しい。

公演:扉座「新浄瑠璃 朝右衛門 ~小池一夫「首切り朝」より~」
場所:厚木市文化会館
日程:11月27日~11月28日
原作:小池一夫
脚本・演出:横内謙介
出演:岡森諦・中原三千代・有馬自由・犬飼淳治・高橋麻理・鈴木利典・岩本達郎 ほか
座席:9列右ブロック 指定4,200円
時間:2時間10分

K2の登頂後帰り道のハロルドとテイラー。ハロルドは骨折しており通常通りの下山はできない。ザイルは足りない。はてどうしたものか?
という感じのあらすじなのか?(苦笑)
基本的に崖での二人の会話劇。

弁護士というハロルドを演じる剛が弁護士に見えないのが何とも。
稽古不足なのかロッククライミングの練習の方に力を費やしたのか、キャラがぶれるのがところどころ気になった。
物理学者のテイラーを演じるのは堤さん。
こちらは先日「容疑者Xの献身」で似たような役やってましたから(あっちは数学だったか?)、あんまり違和感が無いのだが。

あと翻訳もうちょっとどうにかできなかったのか?
「Shit!」→「くそったれ」
とか直訳すぎて、なんかもう気になっちゃって。
ここだけじゃないんだけど、もうちょっと脚色した方がよかったんじゃないかと思うんだよねえ。

一番印象に残ったのは、あの美術。
山を再現していたんだけど、壁が人の顔に見えたりして。
どうやってこの二人を絶望に陥れるか、そんな意地悪な顔に見えたり、どうにか救ってやろうというほほえみに見えたり。
そんなところは良かった。

この劇場で二人芝居?と思っていただけあって、特に動きの少ない(あるといえば上下の動きのみ)芝居だったんで、余計に横の空白を感じたな。

映画の方は最後ヘリで二人を助けに来るのね。
別れてからのテイラーのあの葛藤ぶりもいいのだが、そういうお約束エンドもちょっとみてみたかったな。

公演:SISカンパニー「K2」
場所:世田谷パブリックシアター
日程:11月2日~11月28日
作:パトリック・メイヤーズ
演出:千葉哲也
出演:堤真一・草彅剛
座席:1階H列センター S席8,500円
時間:1時間45分

演出の仕方は悪くないんだが、なんかこうしっくり来ず。
白井さんっぽい演出じゃない?
どうも帰国してからの長塚の演出苦手だ。

周りの香水に耐えきれず、途中退出しちゃったので、全部について語る事はできないんだけど、奥村佳恵さんと森山くんとの芝居がどうも耐えきれず。
好きなキャストいっぱいなのだが耐えきれないものは耐えきれない。
というわけで途中で帰りました。すいません。

公演:タンゴ−TANGO−
場所:Bunkamuraシアターコクーン
日程:11月5日~11月26日
作:スワボミール・ムロジェック
演出:長塚圭史
出演:森山未來・吉田鋼太郎・秋山菜津子・片桐はいり・辻萬長・橋本さとし・奥村佳恵
座席:1階E列右センターブロック S席9,000円
時間:途中退出したため不明

成志・じゅんの降板により、代役で三宅弘城・河原まさと。
三宅の方がアンドロイドっぽい身体の反応していて、すごいなあ、って思った。
あれだけの段取りをたたき込むのも大変だったろうになあ、と。

サンボの方はちょっと微妙。順当にここに当てるにはサンボしか考えられないのだが、なんか全然うまくなってないんだよね。力不足だったなあ、と。
つーか、サンボじゃ村野武則のパロには見えないのだよ。しょうがないとはいえ。がんばれば見られるとはいえ、もうちょっとこの辺も頑張って欲しかった。

代役を立てたことでみんなでフォローしようとしているところを、田辺くんが引っかき回している感じ。

印象に残ったのは古田を始めとしたマイケルのパロ。一軍すげー。二軍はもうちょっとがんばろう(苦笑)。
それから「ハナ肇」さんのパロ。
出てきただけで笑えるわ。

ピンポイントなパロに笑った笑った。

公演:劇団☆新感線2010年冬休みチャンピオンまつり「鋼鉄番長」
場所:サンシャイン劇場
日程:10月4日~11月7日
作・演出:いのうえひでのり
出演:三宅弘城・坂井真紀・河原まさと・高田聖子・粟根まこと・田辺誠一・古田新太 ほか
座席:1階14列右ブロック S席10,500円
時間:3時間30分くらい?

Monthly List

Tag Clouds