2008年7月の記事一覧

長塚×パルコの新作。イギリス留学前の最後の新作となる模様です。

とある寂れたホテルにやってきた馨(松たか子)。馨の旦那で東京でビストロを開いている信助(田中哲司)は、彼のいとこである優治(中村まこと)が経営するこのホテルの立て直しのために呼ばれていた。
そのホテルでは先日優治の奥さんである操子が自殺し、そのせいで客が来なくなってしまったというのである。
優治は信助から料理を教わって、このホテルをどうにか再建したいと思っているのだが…。
操子と仲の良かった清掃員の稔子(梅沢昌代)は、その事件のせいで気が触れてしまっている。
そのホテルには操子の弟で児童文学の作家である礼二(吉田剛太郎)とその娘美鳥(鈴木杏)も10以上住んでいる。
美鳥は東京からやってきた馨に興味を持ちいろんな話をし始めるのだが…。

とまあそんな感じのあらすじかな?

まず思ったのは演出がキレイなこと。
長塚さんってほんとに色彩へのこだわりがあるというか、洗濯物やコック服の白とか、馨の黒い服装とか、美鳥の服装や曼珠沙華の赤だとか、そういう色がパレットみたいに繰り広げられた感じ。最後の二人の心中シーンで、血の変わりに曼珠沙華が水の上を漂っていたのが非常に印象的。

あとは、神城親子が住んでいる部屋と、馨夫妻が招かれた部屋の二つがが一つのセットで同時に展開するところもステキでしたね。
まあ演劇的にはよくある手法なんですけど、馨夫妻が招かれた部屋が前の神城親子の部屋だという意味を持たせたことで、この辺りがより深みがでたと思うし、「スプーンで実は簡単に鍵が開けられる」という「実は鍵がかかっていない、オープンな部屋」というのも、この演出にしたことへの意味が出てきたのじゃないかと勝手に思いました。

壁に出来た亀裂から馨の心から血が流れ出すように、少しずつ出てくる水。それがだんだんと部屋を満たし始めて、馨の心が泣いているようなそんな感じもうけました。
ほんとに演出良かったなぁ。

公演:PARCOプロデュース「sisters」
場所:パルコ劇場
日程:7月5日~8月3日
作・演出:長塚圭史
出演:松たか子・鈴木杏・田中哲司・中村まこと・梅沢昌代・吉田剛太郎
座席:B列センター 7,500円
時間:2時間20分

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