2000年3月の記事一覧

有名な「WATER」のシーン、ヘレンとともにまたサリバン先生のブレイクスルーの瞬間。鳥肌が立ちました。
自分の中の言葉が溢れそうになっている状態と数少ない幼児期に覚えた「WATER」という言葉がつながり、そしてあらゆるモノが目に見えるかのように世界に現れ始める。
このヘレンに取って世界の始まりとも言える一瞬、サリバンもまた自分の中の弟への未練、そして自分が人を愛せなかったということへ完了を作る。
人のブレイクスルーの瞬間ってなんて素敵なんだろうと涙が止まらなかった。

この奇跡の人というお話はサリバン先生のお話。
ヘレンの伝記を読むとサリバン先生っていうのは「すばらしい家庭教師」というように書かれていた印象です。
でも、サリバン先生にはサリバン先生なりの、またケラー家にはケラー家の苦労があるわけですよ。
そりゃ人間ですから。
その人たちがサリバンとヘレンの二人の関係を通して一気にブレイクスルーを起こすんです。
私の知らなかったケラー家の苦悩がすばらしく表現されていました。

池田成志さんのヘレンの兄、ジェームズ。父親にうまく愛されない。そして実の父なのにうまくコミュニケーションがとれない。
この人もサリバンによって奇跡を起こされちゃう人なんだけども、これが人間らしくていいんだよねえ。

最後に誰もが知っている話を楽しく見させてくれた演出をしたじてキンの鈴木さんを尊敬します。
ありがとうございました。ほんとに。

公演:ホリプロ「奇跡の人」
場所:Bunkamuraシアターコクーン
日程:2月28日〜3月26日
作:ウィリアム・ギブソン
演出:鈴木裕美
出演:大竹しのぶ・菅野美穂・余貴美子・渡辺哲・池田成志・吉田鋼太郎・平木久子 ほか
座席:XA列左ブロック 8,400円

つかこうへい戯曲コースの新人さんの脚本&演出+北区つかこうへい劇団員の公演でした。

まず戯曲。取り上げ方は悪くなかったと思うんだけど、話が分かっちゃうんだよね。
それでその予想を外れるっていうのは智則くんの出番だけなんだよねえ。
はっきり言うと「素人芝居」でした。学芸会って感じが拭えなかったです。
哲也くん、初めての主役は一生懸命頑張っていたと思います。
でも何だか英泉の狂人さが伝わってこないんですよ。ただのちんぴらって感じだけ。

智則くん、個人的には北斎よりもあのオカマの方がよかったです。一服の清涼剤でした。
女性陣の二人、好演だと思いますよ。真智子ちゃんといい、はるみさんといい。
でもその暗い部分をもっと表現させてあげてほしかったっす。
ん~~。1時間45分がこんなに長く感じたのは初めてです。
二列目だったんですが、舞台上の悪い空気で風邪引いてしまいました。北とぴあさん、どうにかしてください。

公演:北区つかこうへい劇団「英泉」
場所:北とぴあ
日程:3月23日〜3月26日
作・演出:和田肇子
出演:山本哲也・吉田智則ほか

何だったんでしょう、一体。
ロベルト・ズッコの本体が全然分からなかった。
結局、どういう人でどういった動機で人を殺していたのか、
また監獄を脱走してどうして逃げているのか?
その辺の細かい描写が全然足りない。
彼の生き様を描くのならもっと突っ込んで書いて欲しい。脚本が甘い。
何が言いたいのかさっぱり分からなかった。

犬山犬子、ただ一人がよかった。
でももっともっとロベルトに絡んでほしいなあ。

場面転換も多くて、みんなが寝てしまうのもなるほど納得の芝居。はっきりいってつまらなかった。

公演:ロベルト・ズッコ
場所:世田谷パブリックシアター
日程:3月8日〜3月23日
作:ベルナール=マリ・コルテス
演出:佐藤信
出演:堤真一・中嶋朋子・犬山犬子・金久美子・富樫真・二瓶鮫一・大鷹明良・久松信美 ほか
チケット:A席6,500円

暗い雰囲気のステージ、普通の席配置の客席でした。席はなんと最前列。うひゃ~~(^^;;;。

まずは麻実レイさんの華麗なおばあさん姿。
ストールを頭からかけただけなのにおばあさんです、すっかり。それもかなり下品な浮浪者。
すごいです、ほんとに。客席の中年のご婦人方は麻実さんの後援会関係?
そこに売れない詩人の亨さんが絡むんですが、亨さんの少年っぽさ、初めてみて超感動。
ついついおばあさん=小町に魅せられてしまう演技がすばらしかった。

後半は佐々木蔵之助さんとその昔の女の絡みなんだけど、何かこれが今一歩なんだよねえ。
二人とも役の演じ方はすばらしいのに、なんかが足りない。
これは演出のせい?それともまだ始まってから日にちが余り経っていないせい?
何にしても何かが足りないのでした。

その他大勢として描かれる恋人達。
深夜の公演に群がる恋人達=キスシーン、っていうのはあながち嘘だとは思いませんが、
表現方法がワンパターンすぎて飽きてしまった。他の表現も含んで欲しかった。
また行くのでその時には他の感想を書けるかな?

公演:t.p.t.「Long After Love」
場所:ベニサン・ピット
日程:3月17日〜4月16日
作:三島由紀夫(近代能楽集より『葵の上』『卒塔婆小町』)
演出:山下晃彦・デヴィッド・ルヴォー
出演:麻実れい・山本亨・佐々木蔵之介・松浦佐知子

「家族ってあったかい」ほんとにこのことに気づかされた舞台だった。
どうも「父が死ぬ」とか「甘えられない」っていうのは、自分の過去にあった部分なだけに、
その一節が出てくるだけで泣いてしまう傾向あり。
母がいかに父を愛していたか、そして末っ子はいかに自分の居場所を欲しがっていたか、
現実と平行するものとして夢の社会が描かれている。
う~~ん、愛なんだよねぇ。ほんとに。

<ストーリー>
父の一周忌を前に、書斎の整理をする母娘と父の教え子。
母は父の遺品の中から夢日記をみつけ夢の中へと入っていく。
その中では母に愛されて育った長女、父に愛されて育った次女、そして何も要求しないことで
自分の居場所を確保しようとした三女と母・父が暮らしている。
三女のお見合い話を元に今まで甘えられなかったことを吐露してしまう。

公演:泪目銀座「夢から覚めても〜今世紀最大のうたた寝〜」
場所:紀伊國屋ホール
日程:3月11日〜3月20日
作・演出:福島三郎
出演:左時枝・谷川清美・柴山智加・石田ひかり・桂憲一・朝倉伸二・菊池均也・石丸謙二郎
チケット:4,600円

今度の公演で解散してしまう「惑星ピスタチオ」。これはどうしても見なきゃ、と思って行った。

教授に頼まれてロシアの学会へ代理で行くことになった主人公がその途中立ち寄った駅で不思議な夢を見る、簡単に言ってしまえばそんなストーリー。

話はおもしろい。
途中の「手のひらを返せば現実社会に戻れる」というくだりで、ぞくぞくする、
新しい門出をするメンバーへのプレゼントとも思える台詞もある。役者も表情豊か。

なのになぜこうも退屈なんだろう??始終眠くてちょっと寝てしまったし。
舞台の上のエネルギーがどうも客席まで伝わってこない。台詞も忘れも激しすぎるし。
最終公演にしては力が入ってない、というのが正直な感想。
どこかでこの脚本で真剣にやってくれないかしら?

公演:惑星ピスタチオ「4人のN氏」
場所:シアターアプル
日程:3月3日〜3月12日
作・演出:西田シャトナー
出演:腹筋善之介・保村大和・末満健一・福岡ゆみこ・宇田尚純・西田シャトナー
チケット:5,500円

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