有名な「WATER」のシーン、ヘレンとともにまたサリバン先生のブレイクスルーの瞬間。鳥肌が立ちました。
自分の中の言葉が溢れそうになっている状態と数少ない幼児期に覚えた「WATER」という言葉がつながり、そしてあらゆるモノが目に見えるかのように世界に現れ始める。
このヘレンに取って世界の始まりとも言える一瞬、サリバンもまた自分の中の弟への未練、そして自分が人を愛せなかったということへ完了を作る。
人のブレイクスルーの瞬間ってなんて素敵なんだろうと涙が止まらなかった。
この奇跡の人というお話はサリバン先生のお話。
ヘレンの伝記を読むとサリバン先生っていうのは「すばらしい家庭教師」というように書かれていた印象です。
でも、サリバン先生にはサリバン先生なりの、またケラー家にはケラー家の苦労があるわけですよ。
そりゃ人間ですから。
その人たちがサリバンとヘレンの二人の関係を通して一気にブレイクスルーを起こすんです。
私の知らなかったケラー家の苦悩がすばらしく表現されていました。
池田成志さんのヘレンの兄、ジェームズ。父親にうまく愛されない。そして実の父なのにうまくコミュニケーションがとれない。
この人もサリバンによって奇跡を起こされちゃう人なんだけども、これが人間らしくていいんだよねえ。
最後に誰もが知っている話を楽しく見させてくれた演出をしたじてキンの鈴木さんを尊敬します。
ありがとうございました。ほんとに。
公演:ホリプロ「奇跡の人」
場所:Bunkamuraシアターコクーン
日程:2月28日〜3月26日
作:ウィリアム・ギブソン
演出:鈴木裕美
出演:大竹しのぶ・菅野美穂・余貴美子・渡辺哲・池田成志・吉田鋼太郎・平木久子 ほか
座席:XA列左ブロック 8,400円