2000年6月の記事一覧

富樫真、そして今井久美子が熱演。特に富樫さん。好きです。こういう表情。
失礼だが、この二人と関根さん春田さんしか引き込まれなかった。なんだあの他の男優陣は。
話もなんだか盛り上がりにかける感じ。これが田中十朱男の世界なの?
結局長崎の天主堂からマリア像を盗む話でさ…ってまとめたらこれだけ??(爆)
関根さんが今までのJAC芝居にはない、シリアスなそして優しい役ですごく共感がもてた。
だけどこういう外部でJACの人を使う魂胆が見えすぎて恐い(爆)。

公演:マリアの首
場所:ベニサン・ピット
日程:6月5日〜7月5日
作:田中千禾夫
出演:富樫真・今井久美子・春田純一・関根大学 ほか
チケット:4,000円

果たしてこれがミュージカル??いやそんなことはどうでもいいんだけどね。不条理の条理って感じがあちこちに。松尾スズキワールド炸裂。

冒頭のケガレの歌にいきなり涙が出そうになる。
自分に呪いをかけるように地下室から這い出たケガレは自分のことを「ケガレ」と名付ける。
地下室に残してきた、そして忘れさせられていた、もう一人の自分を「犠牲」にした自分に呪いをかけるように…。
そしてそんな自分との統合をしにまた地下室へ行くケガレというかミサ。
なんかいろいろ生きてきて捨ててしまった自分の感情とかそういったものと、もう一回向き合うってすごく困難ですごくつらいことなのよね。
それをしようとしたケガレに拍手を送りたいし、わたしもそうでありたいと願う。
「意味がない」という意味を持つこと。う~ん。哲学ですね。やっぱり。

この戯曲はいろんな人のいろんな人生が描かれているのだけど、わたしが個人的に気に入った(というか惹かれた)エピソードは、くどかんが演じる「ジュッテン」の人生。
自分が見たくないと思ったときに目をつぶり、目を開けることを忘れてしまう。
そして好きな女の姿を見るためにまた目を開け、彼女が死んだことを知り、また目を閉じる。
切ないよ。やっぱし。愛だよね。ほんとに。
そして号泣できるこの場面も、松尾スズキ的手法で泣かせてくれない(爆)。

くどかんとサダヲが好きなのでもうこの二人&松尾スズキ特有の変な動きに目が釘付け。
古田の腐りかけの演技もなんか悲哀でいいんだよなあ。
休憩時間のサダヲワンマンショーも目の前で堪能。あの…この視線…ずっと合ったままなんですけど、逸らしちゃいけませんよね。って感じでした。あの大きな目で見つめられとらわれてしまいました。

公演:「キレイ〜神様と待ち合わせした女」
場所:Bunkamuraシアターコクーン
日程:6月13日〜6月30日
作・演出:松尾スズキ
出演:奥菜恵・南果歩・古田新太・片桐はいり・松尾スズキ・宮藤官九郎・阿部サダヲ・篠井英介・秋山菜津子・伊藤ヨタロウ・山本密・猫背椿・皆川猿時 ほか
座席:S席O列センターブロック7,000円

BS2にて放映されたものを見ましたので感想を…

水野と伝兵衛の愛に溢れているんだよな。やっぱり、この作品。
平栗さんの水野、かなり好きです。特にアイ子の時。
ほんとに海が見えてくる。そして五島の風景が…。
そしてその狂った様子に耐えきれなくなった大山は彼女を殺すのだが、
この時は直接首を絞めてるんだね。初めてしった。

全編に渡って銀ちゃんと亨くん、そして銀ちゃんとあつみちゃんの絶妙なかけあいが楽しめます。
それを見ているだけで楽しくなってしまう。

そしてパピヨンのシーンの後の大山のおびえた表情がいいのよ(^^)。
大山の一番の見せ所はアイ子を殺すシーンから後だと思うんだけど、
その時の「おいがアイちゃんを殺しました…」とつぶやくシーンも、
なんかね、愛がね、見えちゃうんだよね。
この人もまた伝兵衛を愛していたのよね。
大山でもアイシャドーばっちしな銀ちゃんって…(^^;;;

なんかね。伝兵衛ってほんとにいつも孤独なんだけど、
モンテの伝兵衛って孤独だけどもすごく愛されてて幸せだなあ、って思う。
だから十三階段が登れるのかなあって。

早く舞台の銀ちゃんに逢いたいよ~。トランスまであと38日。
(って結局言いたいことはそれ?>自分

村上里佳子なかなか好演していた。
でも何と言っても佐々木蔵之介がこの芝居を引っ張っていた。
村上里佳子演じる「バーバラ」の親友で自分の精子を提供するゲイ「ブレンダ」の役。
蔵ちゃんのゲイって全然想像できなかっただけにすごくぴったりで、愛が溢れていて、蔵ちゃんが舞台に出てくるだけでほっとした。
カーテンコールもすごく家庭的な感じがしてよかった。

最後のシーンで結局ブレンダの精子じゃなくてその彼の精子でバーバラが妊娠したことが判明する。
バーバラは「ママが子供を連れてきたんだわ」とうれしがるが、だとしたら、誰の子供でもよかったってこと?何かそれって変だよなあ。

気になったことといえば、何度も暗転すること。暗転ってあんまし好きじゃないんだよね。そのたびに心理的なものが寸断されるから。どうにか暗転しないで済むように演出を考えてほしかった。それから後ろでぺちゃくちゃ喋るおばさん連中も気になった。頼むから黙っていてくれ。

公演:ホリプロ・ウーマンズ・ビュー・シリーズ「パーフェクトデイズ」
場所:世田谷パブリックシアター
日程:6月10日〜6月28日
作:リズ・ロケット
演出:宮田慶子
出演:村上里佳子・佐々木蔵之介・大沢健・相島一之・高畑淳子・中村メイコ
チケット:S席6,800円

強烈な下ネタでした。特に1部。なあんか拍子抜け。
「芸術」っていうのを扱っている割に全てなんか手法が同じで飽きちゃった。
演劇好きな私には二部の方が楽しめた。
個人的に2部の「夢の電撃遊民社」の歩き方とかしゃべり方が、野田秀樹していて○。
笑えたけどなんかいまいちという感あり。長すぎるし単調すぎ。
これがWAHAHAの手法だとするのならもう二度といかないかもしれない。

公演:WAHAHA本舗「大ザンス」
場所:シアターアプル
日程:6月15日〜6月25日
演出:喰始
出演:佐藤正宏・梅垣義明・柴田理恵・久本雅美・すずまさ・ポカスカジャン ほか
チケット:7,000円

これも非常にわたしの好きな戯曲。
「女」が一人で仕事をする上でのいろんな応援歌が盛り込まれている。
それに補佐の刑事(今回でいうとトメさんね)のエピソードが好きなんだよね。
ホモの刑事はふるさとに帰りたいが後指を刺されるのがこわくて、帰ることができない。
でもこの事件で帰ることを決意するわけさ。
熱海でのキーワード「一歩踏み込む」ってことやね。
このシーン、戸田さんの時も泣いちゃったんだけどさ、トメさんでも泣いちゃったもんね。
トメさんの演技がいいとか悪いとかそういうわけじゃないんだけど、脚本がいいんだよね、やっぱり。

役者さんはね、言っちゃ悪いんだけど力入りすぎ。そして台詞慣れしなさすぎ。
智則くんの時にはこんなに疲れなかったもんね。
その中でもトメさんの李の役はよかったな。それと後半。
普通の役で表現することができるんだからさ、いつも変な使い方しないで、普通に使ってやってほしいと思うなあ、こういうの見ちゃうと特に。
はるみさんはこれを機に元のお仕事(モデル?タレント?)に戻るそうである。
いやはや潔い伝兵衛でした。今後のご活躍をお祈りしております。

公演:北区つかこうへい劇団「熱海殺人事件〜売春捜査官」
場所:椿山荘
日程:6月13日
作・演出:つかこうへい
出演:田中はるみ・吉浦陽二・とめ貴志・渡辺和徳
チケット:3,000円

すいません、かなり寝ました。っていうかあまりに居心地よすぎて…。
昔っから本を読んでもらって眠りについていた私には幸せなひとときでした。(そうじゃないってば)

真実の愛が成仏するには必要だ、というお菊と、お菊に会う度にお菊に恋をしてしまう播磨。。
結論はこの戯曲には書かれてない。
(BS版は二人が仲良く手をつないで成仏し、舞台版は二人は引き裂かれてしまう)

この作品はわたしと舞台とを会わせてくれたもので、舞台で3回、BS・劇場中継のビデオで
ほんとに何度も見たので、要所要所の台詞は全部覚えてしまっているんだなあ。
有馬さんの播磨、すごくよかったです。
でも馬鹿っぽさから言ったらやっぱり慎吾か?どうもインプリントされてるからなあ。
扉座で是非公演を打ってほしいです。うん。

公演:劇団扉座「怪談・贋皿屋敷リーディング」公演
場所:原宿DEVIES
日程:6月11日〜6月12日
作・演出:横内謙介
出演:有馬自由・三木さつき ほか

オーケストラピットでの本番中に繰り広げられる人間模様を描いたこの作品。
三谷幸喜得意な「閉鎖された空間での笑い」っていうやつでした。

かなりおもしろい。
それにそれぞれの歌もまたそれぞれの役を反映していて楽しい。
やっぱり「見せる」という分野において三谷幸喜は天才だと思う。
布施明の娘とのエピソードはなんかいろいろ考えるところあってほろっとさせられた。
わたしはオケをやっている人間なので変なところで笑ってしまったりしたけど、
実にちゃんとオケを見ている人なのだなあ、と感心した。
カーテンコールも生音なんて贅沢きわまりない。

ただ、作品の出来はいいものの、この調子があと一ヶ月持つのかすごく不安。
そして三谷ファンとおぼしき連中の「なんでも三谷さんが作ればいいのよ~」的な受け入れられ方がなんか気になってしょうがない。
いつもの手法すぎて新しさが感じられないんだもん。

公演:PARCOプロデュース「オケピ!」
場所:青山劇場
日程:6月6日〜7月9日
作・演出:三谷幸喜
出演:真田広之・松たか子・川平慈英・戸田恵子・伊原剛志・白井晃・小日向文世・北川潤・山本耕史・宮地雅子・小林隆・菊池均也・布施明
チケット:13,000円くらいだっけ?

賛否両論あるみたいですが、わたしはこのお話が大好き。久々に泣きじゃくった。

最後のシーン、このシーンのためになら、前半のなんか陳腐な話も、まとまりのなさも全て許せるような気がした。
六角さんの青鬼がすごく良かった。やっぱりストーリーテラーはこうでなくちゃ。
鈴次郎と声をかぶせて話すところなんて涙なくしては見られない。

「何にもなくても夢を思うとこの辺が熱くなるんだよ」
夢を見ることができなかった鈴次郎が夢を見ることを儚に教えられ、そして夢見る。
手に入らないと分かっていてもついつい見てしまう夢。
「人の夢 はかなし~」と言う歌がこの台詞に被さって聞こえてきた。

「そして儚は水ではなく花になった」この言葉を言う六角さんが、んもう素敵。
儚は自分の死と引き替えに、鈴太郎と交わることを選ぶ。
鈴次郎を温めてあげたい、という気持ちが彼女を水ではなく花にするのだ。
そして一面の花吹雪。もうここだけで号泣である。

この話は青鬼の回想なんだけど、結局鈴次郎=青鬼だったわけよね。今考えると。
そうすると全部が繋がってきて、やっぱり横内さんってすごいってなるの。

この悲しい二人の結末を見て、「怪談にせ皿屋敷」を思い出した。
ああ、やっぱりエンディングが横内さんなんだなあ。
単純なお話なのである。話も読めちゃうし。でも横内さんの作り出す世界が好き。
舞台が始まるとき「あぁ、わたしは今日泣きに来たんだ」と思っていたら、その通りになった。
もう一回行けるものなら行きたいな。いけないけど。

大阪・愛知はまだチケット余ってます。是非足を運んでください。わたしにとっては今年一~二番を争う作品です。

公演:劇団扉座「いとしの儚〜100 Days Love〜」
場所:紀伊國屋ホール
日程:5月30日〜6月9日
作・演出:横内謙介
出演:三木さつき・山中たかシ・六角精児・岡森諦・中原三千代・茅野イサム・高橋麻理・赤星明光 ほか
チケット:たしか10列目くらいのセンター 4,000円

う~ん、中嶋朋子がね、なんだかね、いつも同じなんだよね。
確かに狂っている様子はすごく出てるんだけど、この人いつもこの表現方法なんだもん。
はっきり言って飽きてしまった。

一部はそんなエルシリアが自殺未遂で入院していたところからある著名な小説家の家にお世話になることから始まる。
エルシリアを取材した新聞記者そして結婚の約束をした大尉がエルシリアを混乱に陥らせる。
第二部はそこにグロッティ領事がやってきて真実がひとつひとつ明らかになる。
そしてエルシニアは死を選ぶ。

っていう話なんだけどさ、死ぬためにメディアにも周りの人にも嘘をつき続ける、そういったエルシリアの苦悩がねえ。ただ狂っているだけって感じで…。
他の女優さんだったらどうだったんだろう?と思わずにいられなかった。
男優陣+大家さんはよかっただけになんだかねえ。亨くんは相変わらず良かった。
フランス映画ちっくな演出。最後のマネキンに背筋が寒くなった(悪い意味で)。

公演:t.p.t.「Naked-裸-」
場所:ベニサン・ピット
日程:6月1日〜6月6日、7月7日〜7月16日
作:ルイジ・ピランデッロ
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演:中嶋朋子・三木敏彦・大森暁美・山本亨・岡本健一・植野葉子・堤真一

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