2008年9月の記事一覧

原作は100年前に書かれ「父と夫の人形だった」と女性解放運動を主としたお話。

正直この話というか世界観はわたしは嫌いだ。誰もが違うところを見て「足りない足りない」って言っているような気がする。
もちろん100年前の北欧の方ではこういう文化背景だったんだろうけども、それでも私は嫌だなあ。なんかこう誰にも虫唾が走る感じ。

確かに「わたしは人形だった」と語るノラに同情すべき点はある。
が、その代償に彼女は金に困る生活はしてこなかったわけだし、幸せに毎日を過ごしているじゃん。リアルにいろいろなことを体験してきたクリスティーネとの対比を考えるとね。別に不幸になれ、とは言わないけど、そういういろんな人の上に立っている自分の立場を少しは考えたことがあるのか、と。常に他人を上から見るノラは旦那と大して違いがないよね。
夫と別れて自分一人で生きていく、と決意したとしても、それはただ単に衝動的にやったもので、この先の生活がうまくいくとも思えないし。
っていうか幸せをつかみそうになっているクリスティーネにこれ以上迷惑かけてやるなよ、って思ってしまった。

まあ夫も夫で「この旦那ムリ、絶対にムリ」という感じなんだけど(苦笑)。

まあ時代も時代だったんでしょうから「夫を救って内助の功を果たしてこその妻」っていう感じなんだろうし。まあそのちょっとした「助けたつもりのこと」が不幸の始まりっていうか。悪い人にひっかかっちゃうわけだけどさ、世間知らずのお嬢さんが変な金貸しに捕まって、それをネタに夫をだますことになるわけだけど、お手伝いさんもさ、何か助言してやれよ、って正直思ったんだよな。乳母でしょ?松浦さん。それくらいの言うこと聞いてくれるんじゃないのかねえ?
こんな風な不幸を引き起こす前にどうにかできたんじゃないのかって思っちゃった。

さてお久しぶりのルヴォー。やっぱりこの演出ステキだなあ。
両側に客席を置き、一部屋しかない状態で、ほとんど無駄なセットが無いというこのオープン感。
でも人が出入りすることで、微妙に空気感も変わってきて想像をかき立てられました。

りえちゃん演じるノラのハラハラ感がこっちに伝わってきて、すごく緊張感がありましたし、山崎さん演じるクロクスタには「この悪党め!」って言いそうになっちゃうほどの悪党オーラがあったし、神野さん演じるクリスティーネが彼を救ってくれたときには、ほんと良かった良かったって思ったし。最後に二人が向き合うところは、さすがの緊張感でした。
終始主人公二人に腹立ちながらも最後まで楽しく見られました。

公演:SISカンパニープロデュース「人形の家」
場所:Bunkamuraシアターコクーン
日程:9月5日~9月30日
作:ヘンリック・イプセン
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演:宮沢りえ・堤真一・山崎一・千葉哲也・神野三鈴・松浦佐知子・明星真由美 ほか
座席:S席1階P列右ブロック9,000円
時間:3時間(休憩15分+10分)

さてとホワイトチーム。こっちの方がいつものナイロンっぽい感じ。わたしはこっちが好きだなあ。
三宅くんと新谷ちゃんの組み合わせが、昔から付き合っている男女という感じがしたし、自分の中の幻想の父親のまちゃも好きだった。松永さんの赤坂もステキでした。
何より、脚本家として生きている感じがこっちの方が生々しくて「笑っていけないものなんか無い!」という辺りもずーんと伝わってきました。

小骨と父親が和解せずに殺しちゃうあたりがまた、ね。

こういう企画、またやって欲しいなあ。

一応キャスト比較表

辻煙(田中正明)………………………大倉孝二|三宅弘城
日田美果(辻の恋人)…………………小池栄子|新谷真弓
塔島邦人・煙の父親……………………マギー|河原雅彦
成瀬南(職員)…………………………坂井真紀|佐藤江梨子
赤坂弥生(元芸人)……………………峯村リエ|松永玲子
不二山キリ(赤坂の秘書)……………長田奈麻|安澤千草
園田研々(元芸人)……………………廣川三憲|住田隆
園田春奈(研々の妻)・煙の母親…犬山イヌコ|村岡希美
音波究二………………………………みのすけ|清水宏
小骨(音波の子供)……………………植木夏十|六角慎司
小柱力…………………………………喜安浩平|藤田秀世
関口……………………………………三宅弘城|大倉孝ニ

公演:ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」ホワイトチーム
場所:本多劇場
日程:9月15日~10月19日
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅弘城・松永玲子・村岡希美・廣川三憲・新谷真弓・安澤千草・藤田秀世・吉増裕士・皆戸麻衣・杉山薫・眼鏡太郎・大倉孝二・佐藤江梨子・清水宏・六角慎司・河原雅彦
座席:P列右ブロック 6,800円
時間:2時間30分

バブル絶頂の頃の日本。辻煙というペンネームでコメディを書く田中正明(大倉)。田中が逃げ込んだサナトリウムを舞台にしてのいろいろな人の物語。

なんか形容のしようがないので、こんな感じのあらすじで失礼。
まずブラックチームを見たのだが、なんか綺麗な感じしたなあ。最後のシーンもそう。
いつものナイロンとは少し毛色が違っていたのは、中心部分の人間がナイロンの人たちじゃないからなのでしょうか?

峯村リエちゃん演じる赤坂がすごく良くて、大倉くんとの絡みはすごくほっこりした。
世間と少しづつ笑いのツボがずれていて、そのことを生業としている故に書けなくなってしまうという辺りが、ケラの半自伝的な部分なのでしょうかね。

みのすけと小骨ちゃんが和解したところ好きだなあ。父親と娘って感じがして。
この辺の片付け方がよく考えられていて良かったなあ。

公演:ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」ブラックチーム
場所:本多劇場
日程:9月15日~10月19日
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:大倉孝二・犬山イヌコ・みのすけ・峯村リエ・長田奈麻・植木夏十・喜安浩平・大山鎬則・廻飛雄・柚木幹斗・三宅弘城・小池栄子・坂井真紀・住田隆・マギー
座席:I列左ブロック 6,800円
時間:2時間30分

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