原作は100年前に書かれ「父と夫の人形だった」と女性解放運動を主としたお話。
正直この話というか世界観はわたしは嫌いだ。誰もが違うところを見て「足りない足りない」って言っているような気がする。
もちろん100年前の北欧の方ではこういう文化背景だったんだろうけども、それでも私は嫌だなあ。なんかこう誰にも虫唾が走る感じ。
確かに「わたしは人形だった」と語るノラに同情すべき点はある。
が、その代償に彼女は金に困る生活はしてこなかったわけだし、幸せに毎日を過ごしているじゃん。リアルにいろいろなことを体験してきたクリスティーネとの対比を考えるとね。別に不幸になれ、とは言わないけど、そういういろんな人の上に立っている自分の立場を少しは考えたことがあるのか、と。常に他人を上から見るノラは旦那と大して違いがないよね。
夫と別れて自分一人で生きていく、と決意したとしても、それはただ単に衝動的にやったもので、この先の生活がうまくいくとも思えないし。
っていうか幸せをつかみそうになっているクリスティーネにこれ以上迷惑かけてやるなよ、って思ってしまった。
まあ夫も夫で「この旦那ムリ、絶対にムリ」という感じなんだけど(苦笑)。
まあ時代も時代だったんでしょうから「夫を救って内助の功を果たしてこその妻」っていう感じなんだろうし。まあそのちょっとした「助けたつもりのこと」が不幸の始まりっていうか。悪い人にひっかかっちゃうわけだけどさ、世間知らずのお嬢さんが変な金貸しに捕まって、それをネタに夫をだますことになるわけだけど、お手伝いさんもさ、何か助言してやれよ、って正直思ったんだよな。乳母でしょ?松浦さん。それくらいの言うこと聞いてくれるんじゃないのかねえ?
こんな風な不幸を引き起こす前にどうにかできたんじゃないのかって思っちゃった。
さてお久しぶりのルヴォー。やっぱりこの演出ステキだなあ。
両側に客席を置き、一部屋しかない状態で、ほとんど無駄なセットが無いというこのオープン感。
でも人が出入りすることで、微妙に空気感も変わってきて想像をかき立てられました。
りえちゃん演じるノラのハラハラ感がこっちに伝わってきて、すごく緊張感がありましたし、山崎さん演じるクロクスタには「この悪党め!」って言いそうになっちゃうほどの悪党オーラがあったし、神野さん演じるクリスティーネが彼を救ってくれたときには、ほんと良かった良かったって思ったし。最後に二人が向き合うところは、さすがの緊張感でした。
終始主人公二人に腹立ちながらも最後まで楽しく見られました。
公演:SISカンパニープロデュース「人形の家」
場所:Bunkamuraシアターコクーン
日程:9月5日~9月30日
作:ヘンリック・イプセン
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演:宮沢りえ・堤真一・山崎一・千葉哲也・神野三鈴・松浦佐知子・明星真由美 ほか
座席:S席1階P列右ブロック9,000円
時間:3時間(休憩15分+10分)