2007年12月の記事一覧

とある町には自殺の名所があった。タクシーの運転手であるシミズは「崖っぷちまで」という自殺志願者の言うとおり、その場所へ連れてってくれる運転手だ。
そこにフタバという女がやってきて「崖っぷちまで」とシミズに告げる。

フタバ(秋山さん)はシミズ(北村)によって命を救われることに結果的になるのだが、この二人の色気対決がそりゃもうすごいことに。
岩松作品にありがちな「誰も幸せでない」感がベニサンピットを充満させて、崖とか空気が通る場所があるはずなのに、なぜか閉塞感。
トリティック・テヘダスの奏でる音楽もなかなかそんな暗い感じを助長していて良かった。
生きているのに死んでいるフタバ、死んでいるのに生きているドイ。この辺りの対比も見事でしたなあ。

公演:M&O playsプロデュース「音楽劇『死ぬまでの短い時間』」
場所:ベニサン・ピット
日程:12月4日~12月30日
作・演出:岩松了
出演:秋山菜津子・北村一輝・田中圭・古澤祐介・内田慈
座席:4列目くらいの真ん中あたり 7,500円
時間:2時間

川上音二郎の実話を元にしたお話。アメリカ巡業したのはいいが、マネージャーにお金持ち逃げされたり、小屋主の奥さんだと思ってた人が全然違う人だったり、と災難続き。どうにか公演は打てることになったが…。
とかそんな感じかな?

何といっても阿南さん!!「早く逃げてーーーっ」って誰もが思っているのに、どうしても逃げられない。この一座のことが心底好きな泥棒役。素敵でした。
そして今井さんと小林さんも良かったな。瀬戸カトちゃんの真実を告げる場面では泣きそうになったし。
まあユースケは影薄かったけどね。
三谷さん常連の脇のみなさんががっしり支えていたような印象。

公演:「The Fearless Otojiro's Company~恐れを知らぬ川上音二郎一座~」
日程:11月10日~12月30日(プレビューは11月7日~)
場所:日比谷シアタークリエ
作・演出:三谷幸喜
出演:ユースケ・サンタマリア、常盤貴子、戸田恵子、堺雅人、堺正章、浅野和之、今井朋彦、堀内敬子、阿南健治、小林隆、瀬戸カトリーヌ、新納慎也、小原雅人
座席:1列センターブロック 12,000円
時間:

リナーン村にひっそりと住む母と娘。娘モーリーンは母のせいで自分が幸せになれないと思っており、母は絶対に娘を自由になんてするもんか、と思っている。
そんなところにモーリーンは一人の青年パドと出会う。パートーといい関係になりそうな感じになるのだが、またしても母親の邪魔が入り…。
とそんな感じかな?

何といっても白石加代子と大竹しのぶの対決が見物。物理的にも精神的にも二人の駆け引きが見事。
母親の介護をしなくちゃいけない。リナーン村から脱出したいのに脱出出来ない。唯一の光であったパドからの誘いにも母親に邪魔されてしまう。そんなモーリーンが可愛そうで…。
と思っていたらだんだんとその理由もバレていき、だんだんとモーリーンが壊れて行く。
壊れ方が何ともまたすごかったですなー。
幸せになってほしいなあって思ったのに、結局は彼女は自分が一番憎んでいた母親のようになるんだろうなあって思ったら切なくて恐くて…。

公演:パルコプロデュース「ビューティ・クイーン オブ・リナーン」
場所:パルコ劇場
日程:12月7日~12月30日
作:マーティン・マクドナー
演出:長塚圭史
出演:大竹しのぶ・白石加代子・田中哲司・長塚圭史
座席:Y列センターブロック 8,400円
時間:2時間ほど

ケラの久々なちゃんとした新作。
作家である父の創作活動のため祖母の家に引っ越して来た一家。父の後を継ぐように作家になった長女、奔放な次女、そしてひっそり生きる次女。この三人と父のドキュメントを撮影したいと志願して来た映画スタッフとの話。

いろんな三姉妹ものをこの話に盛り込んだというだけあって、かなりしっかりした出来でした。
母親の自殺、後妻の登場、などなど異常なほどいろんなことにトラウマを抱えた三姉妹。
三姉妹の誰にでも自分がいるという感じで、それぞれの想いがたくさん伝わって来て、なんかその不自由さにイライラしたり悲しくなったり。

最後のところで、父親が笑いながら死ぬ間際にアルバムに遺言を残していたところは、本当になんかもうその不自由な家族関係に泣けてしょうがなかったです。

公演:ナイロン100℃ 31st SESSION「わが闇」
場所:本多劇場
日程:12月8日~12月30日
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ・みのすけ・峯村リエ・三宅弘城・大倉孝二・吉増裕士・皆戸麻衣・岡田義徳・坂井真紀 ほか
座席:E列左ブロック 6,000円
時間:3時間15分(休憩10分)

いつも卒業公演でやっている「LOVE LOVE LOVE」を、今回は扉座老舗メンバー+著名な脚本家で8本からなるオムニバス+αの本公演として上演。
それぞれの脚本家は以下の通り。

デザートの前に/W大森美香
デューク/W鈴木哲也
幻の花たちの唄/W千葉雅子
ハッピークリスマス/W横内謙介
なぞのパンツ/Wマキノノゾミ
小平/W鈴木聡
ティアーズインブライダル/W真柴あずき
この愛をありがとう/W大森寿美男
ラジオ夜行便/W横内謙介(Inspired by Mika Omori)

わたしが一番好きだったのは、大森美香さんの書いた「デザートの前に」かな?これが「ラジオ夜行便」にも繋がってくるんだけど井之上さんと伴さんの組み合わせがすごく素敵だった。井之上さん好きだわー。
伴さん主役の扉座公演見たかったので、この作品や「ティアーズインブライダル」での芝居とか見られて久々に満喫した感じ。
密かに「なぞのパンツ」「小平」あたりも好き。千葉さんのはやっぱり扉座でも千葉節炸裂。
オムニバスだけど、それぞれの間を、「ラジオ夜行便」が補うことで、あまりぶつ切り感もなく、あっという間な2時間でした。楽しかったです。

公演:劇団扉座第39回公演「LOVE LOVE LOVE36」
日程:12月12日〜12月20日
場所:THEATER/TOPS
作:大森寿美男・鈴木哲也・千葉雅子・マキノノゾミ・横内謙介 他
演出:茅野イサム/横内謙介
出演:岡森諦・杉山良一・有馬自由・中原三千代・伴美奈子・井之上隆志・麻生かほ里 ほか
座席:F列 4,200円
時間:2時間

父親がやっている映画館の閉鎖が決まり、そこに離婚しようかと戻ってくる娘。そこに夫がやってきて…、というのが物語の始め。場所は片田舎。周りが全員自分のことを知っている街。季節は夏、たぶん一週間くらいの出来事。

親娘の間で交わされる「彼」という言葉、たびたびかかってくる無言電話、夫の浮気を許せない娘、などなどキーワードが盛り沢山でした。
石丸謙二郎本領発揮、と一言で言ってしまえそうな、独壇場の出来。
とくに終盤の自分の息子をいじめによって殺されたという独白や、映画館の最終上映の最後で、息子のどうしようもないことを思い出すというシーンなど、もうほんとにすごいとしか言いようが無かったです。女装しての「ろくでなし」に金髪先生を見ましたわ(こら)。
これで3,000円は安いなー。いいもんみました。

公演:トムプロジェクト「僕と彼と娘のいる場所」
場所:栃木県総合文化センター
日時:12月5日 18:30開演
作・演出:鄭義信
出演:須藤理彩・和田聰宏・石丸謙二郎
座席:1階7列センターブロック 3,000円
時間:1時間30分

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