2007年5月の記事一覧

手癖も女癖も悪い杉の市が金で「検校」という位を手に入れようと成り上がっていき、そして身を滅ぼすことになってしまった物語をとある座頭が浄瑠璃として話すお話。
「天保十二年のシェイクスピア」の感じと似ていたな。世界観が。もちろんラストシーンも。あのラストシーン、えげつない。でも嫌いじゃないけど。
古田演じる「杉の市(=のちの藪原検校二代目)」はほんとにどうしようもないやつなんだけど、いろんなものに決別をつけていく時に哀しさが溢れていて切なくなった。自分が成り上がるためには何でもやる杉の市だけど、でも、幸せさがしていたんじゃないかって思うんだよね。父親はお金欲しさに座頭を殺した。その結果自分の子どもが目が見えないという因果応報に苦しめられ自殺。母親は杉の市を育てるために男に体を売っていた。結局金のためにいろんな犠牲を払ってきた杉の市。そんな母親や父親への彼なりの親孝行っていうか。そんなことも少し見え隠れしたりして。
それにしても古田の「早物語」、そして壤さんの浄瑠璃、見事だったな。

公演:藪原検校
日程:5月8日~5月31日
場所:Bunkamuraシアターコクーン
作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
出演:古田新太・田中裕子・段田安則・六平直政・梅沢昌代・山本龍二・神保共子・松田洋治・景山仁美・壤晴彦
座席:S席1階M列左ブロック 9,000円
時間:3時間15分(途中15分休憩)

「犬は鎖につなぐべからず」「隣の花」「驟雨」「ここに弟あり」「屋上庭園」「ぶらんこ」「紙風船」という岸田國士さんの一幕劇をオムニバス風に、でもちょっとずつ繋げてケラが編纂したもの。
岸田さんの戯曲をストレートに見たことは無かったので、それぞれのお話にもすごく興味を持ったけど、「犬は鎖につなぐべからず」の町内を舞台にして、他のそれぞれのお話がそれぞれの家で起こっているという感じにうまくまとめてありました。
さすがに円形で休憩を入れても3時間という長さは長く感じたけど、転換もダンスを入れたりして飽きさせない工夫はさすがだと思いました。
なんだかすごく昭和の匂い。それに夕焼けの感じ。なんかちょっと寂しいようなそんな印象を受けました。この戯曲全体に。それぞれの家庭のそれぞれの「匂い」というかそんなのが見ているこっちにまで伝わってくる感じでした。
衣装の和服も素敵でした。音楽も好き。ケラの演出って好きだなー、と思いながら見ておりました。

公演:NYLON100℃ 30th SESSION「犬は鎖につなぐべからず」
場所:青山円形劇場
日程:5月10日~6月3日
作:岸田國士
潤色・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:松永玲子・みのすけ・村岡希美・長田奈麻・新谷真弓・安澤千草・廣川三憲・藤田秀世・植木夏十・大山鎬則・吉増裕士・杉山薫・眼鏡太郎・廻飛雄・柚木幹斗・緒川たまき・大河内浩・植本潤・松野有里巳・萩原聖人
座席:Hブロック1列目 6,000円
時間:3時間(途中休憩10分)

Monthly List

Tag Clouds