1999年12月の記事一覧

う~~ん、千秋楽。なんか感慨深いなあ。
松尾さんの突き指は相変わらずです。野田さんも相変わらず飛び回ってました。

舞台そのものは大して違いがないのになんでだろう…この感じ。何かひとつひとつのことが輝いて見える感じ。
たった一つ気になったのはカタクギ教授が記者会見をするシーン。蜷川版で手を振るようにしていたのに対し、野田版は手を握っていた。あれはどういう解釈なのだろう?何かに対する「反抗」のようにも取れるあのシーン。
またここに来て一つ謎ができてしまった。

蜷川版との最大の解釈の違い、明るいミズヲ。ヒメ女は箱入りだからあんまり暗いのって好きじゃないかも…。
このミズヲだからこのヒメ女は好きになったのかもしれないなあ。なんて感じた。

楽日はみんなが61公演を振り返るように丁寧に芝居していたように感じる。
何回ものカーテンコール(たぶん10回くらい)のあと観客がほとんど立ち上がってスタンディングオベーション。
そしてSMAPのコンサートかと思うような銀色のテープがばらまかれた。お祭りにふさわしい。

わたしの中の「パンドラ期間」も無事に終わりを告げた。気づいたら年末ではないか。
この作品を見て「ああ、野田さんも蜷川さんも日本っていう国が好きなんだなあ」と思った。すごく愛を感じてしまったのだ。
だからこそ許せないことだからこそ「このようにできたのでは??」と思う心が後を絶たない。
そんなこと全てを次の時代へつなげていけたら本当にいいと思う。

最後にこのイベントを企画した方、脚本家の野田さん、演出家の蜷川・野田さん・出演者のみなさん、そして観客のみなさんに勝手ながらありがとう、と送りたい。この作品に出会えて本当にわたしは幸せ者だ。
どっちがいいとか悪いとかではなく、どちらの作品もアプローチの違いとして楽しめるわたしがいたし。
片方がもう片方を高め、そして理解も深めていってくれた。
この企画にまけない脚本だからできたからだとは思うが、是非またやってほしい。
本当にありがとう♪

公演:NODA MAP「パンドラの鐘」
場所:世田谷パブリックシアター
日程:11月6日〜12月26日
作・演出:野田秀樹
出演:堤真一・天海祐希・富田靖子・古田新太・松尾スズキ・銀粉蝶・入江雅人・八嶋智人・明楽哲典・春海四方・戸谷昌弘・野田秀樹 ほか
チケット:S席8,000円

千秋楽はアドリブもおおけりゃハプニングも多かった。
井出らっきょのパンツなんて全部スリット入ってて、みんな見てげらげら笑っているし、大富士はもろにまわし。
う~~ん、結構こういうの好きかも。

本編ではカタクギ教授が記者会見を受けるところが印象的だった。
話し方は昭和天皇の終戦時のコメントみたいな口調だし、そして上げた右手はまるでいつも昭和天皇が上げていたみたいだった。
狂王になりクーデターの時ハンニバルに「皇祖皇孫にお謝りくださいませ~~」って言われることもあいまって、
狂王=大正・昭和という時代の天皇であったことがしっかりと理解できた。
そうなってくると「最後通知」はアメリカが第二次世界大戦で送ってきた「最後通知=ポツダム宣言」なわけで…。
野田さんにしては珍しい天皇批判っちゅうか戦争責任っていうのがすごくクローズアップされた作品だと思った。

千秋楽では野田さんと蜷川さんが作業用の穴から飛び出してきて紹介された。
大竹さんが野田さんを突き飛ばすように前に出したのも印象的でした。
そして祝うかのように上から降ってきた風船たち。
きっと蜷川さんが平和への祈りを込めてがれきの作業現場へ風船を降らせたんだな、と思ったらまたしても涙、涙でした。

公演:蜷川版「パンドラの鐘」
場所:シアターコクーン
日程:11月16日〜12月23日
作:野田秀樹
演出:蜷川幸雄
出演:大竹しのぶ・勝村政信・生瀬勝久・松重豊・壌晴彦・宮本裕子・高橋洋・井出らっきょ・大富士・大石継太・森村泰昌・沢竜二 ほか
チケット:S席8,000円

この舞台は奥が深すぎた。っていうか何回も何回も見ないと絶対に理解不能。
確かに専門用語は多いし、内輪受けも多すぎる…が、その本質もかなり深い。

いろんな罪を犯しながら東海村にやってきた人たちは、杯をかわした「二代目」今日子のために被曝覚悟で原子炉につっこんでいくことを決意する。
みんなが自分の人生さえままならないのに
「シスターに神のご加護がありますように…」
と「他人のことを思いやって」死んでいくのである。

犬を使う女にそういえばこのフレーズあったよな。
「人が人を思いやれる時代にするためにスターがいるんだ」
…ほんとにつか先生の言葉だと思う。

この物騒なご時世に他人を思いやれるという当たり前のことをあえて伝えようとするつか先生にありがとうといいたい。

「嬉しいことがあったら親子三人で笑って悲しいことがあったら親子三人で泣けばええやないか」
この当たり前のことができないこの世の中になんの救いがあるのか…。
神様が出てきてこのエンディングみたいなことが起こったらいいのに、と思わずにはいられなかった。

確かにこの舞台はかなり荒削りで完成度も低いかもしれない。
だからこそ、いろんなことを語ってくれるつか先生の言葉がほんとに胸にしみた。
この舞台を見に行って本当によかったと思う。
そして終わってみれば春田さんの演技にくらくらしてしまった…春田さんスペシャルはだてではない。

楽日はかなりお遊びの要素が含まれていた。やっぱりお祭りなんだな。
晴江ちゃんにフルーツケーキを投げてもらった。一人一人に大事に投げてくれて嬉しかった。そしておいしかった。
3・3・7拍子も舞台の脇から聞こえてきたし。なんかいいな、千秋楽ってやっぱ。

公演:北区つかこうへい劇団「二代目はクリスチャン」
場所:パルコ劇場
日程:12月8日〜12月19日
作・演出:つかこうへい
出演:小西真奈美・春田純一・相馬あゆみ・吉田智則・小川岳男・清家利一・武智健二・松嶋健市郎・横山一敏・黒川恭佑・吉浦陽二 ほか

今日で二回目の野田版パンドラ。
F列というとても前の席だったので、前回見られなかった役者さんの小技が見られて楽しかった。
こう、近くで見るとやっぱり松尾さんが楽しかった。そして富田靖子さん!すごい!!

野田版はアンサンブルが好きだ。
役者さんそれぞれもいいのだが、それよりも全体のバランスっていうか、まとまりっていうかそれが好き。
まとまっている中で各人が実はばらばらなことをしているっていうのが野田さんの演出の仕方だと痛切に思った。

前回では理解できなかった「天皇」関係。
「この国にもう一つの太陽が落ちるときには、ヒメ女のように王がこの国を守るでしょう」
この言葉は国に原爆が落とされようとしているのに、何も手を下さなかった天皇への批判である。
ヒメ女のようにその身を挺して守ってくれたら、今の日本はどうなっていただろう?
原発なんて作ろうと思ったんだろうか?
二代目に通じるテーマだなあ、なんて思いながら…。

公演:NODA MAP「パンドラの鐘」
場所:世田谷パブリックシアター
日程:11月6日〜12月26日
作・演出:野田秀樹
出演:堤真一・天海祐希・富田靖子・古田新太・松尾スズキ・銀粉蝶・入江雅人・八嶋智人・明楽哲典・春海四方・戸谷昌弘・野田秀樹 ほか
チケット:F列S席8,000円

じてキンは初めてで、ただ単に亨さんと蔵之介さんを見に行った芝居。そういう点では結構満足だったかも。
ただ、芝居としての評価を下すと、シェイクスピアの書いたものに忠実で、途中休憩もあり長い長い。
前半は特に退屈してしまった。たるすぎる。もうちょっとコンパクトに…とかできないものだろうか?(前半90分休憩15分後半60分)
個人的に休憩のあるお芝居は苦手なのでそう思ってしまったのかも。

後半の亨さんvs蔵之介さんの対決はかっこよくて、このシーンだけでも二人のファンのわたしには満足でした。
狂った役をやらせたら最近天下一品だと思う蔵之介さんと「男」を演じさせたら右に出るものはいないと思われる亨さん。…う~む、かっこよすぎ。

公演:自転車キンクリートSTORE「マクベス」
場所:全労済ホール スペースゼロ
日程:12月9日〜12月19日
作:W.シェイクスピア
演出:鈴木裕美
出演:佐々木蔵之介・芳本美代子・山本亨・樋渡真司・久松信美・八十田勇一・草野徹・海津義孝・田中哲司・山中崇志・武田滋裕・佐藤二朗 ほか
チケット:指定4,800円

さすがに二回目になるとちゃんとストーリーが追える。つかマジック(謎)。
前よりも余分な部分がカットされ、気になった部分も気にならない程度に。
このまま楽日まで変貌を遂げていくのだろう。最後まで見守りたい気分でいっぱいだ。

つか芝居には珍しくみんな死んでいくこの芝居。それぞれにいろんな事情を抱えて、それぞれに死んでいく。なんという切なさ。
そして最後に残るのは及川さん(爆)。
初めて見る人には及川さんに振り回されずに話の筋を追って欲しいと思う。
でないと何が何やら全然わからなくなっちゃうよね。

公演:北区つかこうへい劇団「二代目はクリスチャン」
場所:パルコ劇場
日程:12月8日〜12月19日
作・演出:つかこうへい
出演:小西真奈美・春田純一・相馬あゆみ・吉田智則・小川岳男・清家利一・武智健二・松嶋健市郎・横山一敏・黒川恭佑・吉浦陽二 ほか

通し稽古。
っていうのは初めてで、見させてくれる「智の会」に感謝感謝。(-人-)
さて肝心の内容はまだまだ咀嚼できていないので簡単に印象を…。

春田スペシャルと言うよりも智則スペシャルだよ、あれじゃ。もっと春田さんの出番欲しかったっす。
時事問題はてんこもりでそれはいいんだけど肝心のストーリーはどこにいっちゃったわけ??
JACのみなさん(武智君かっこいいっす)は大活躍なんだけどさ、なんだか二番煎じという感じが拭えない。
二等兵での春田さんのカラオケパブの場面、そしてロマンスの「しゅっしゅっ」。それから謎のおかま。
う~~ん、そのシーン必要なの?って思うところがたくさんあった。余計な部分が多すぎる。もっともっとシンプルにして欲しいな。
通し稽古ってこともあり、これから手を加えることもあるのでこれまでに。

公演:北区つかこうへい劇団「二代目はクリスチャン」
場所:パルコ劇場
日程:12月8日〜12月19日※この日は通し稽古
作・演出:つかこうへい
出演:小西真奈美・春田純一・相馬あゆみ・吉田智則・小川岳男・清家利一・武智健二・松嶋健市郎・横山一敏・黒川恭佑・吉浦陽二 ほか

何と言っても舞台の豪華さ。
野田さんの方はいつもセットにしても小道具にしても最低限しか使わないのに大して、
こちらは原爆が落ちたあとの町のような瓦礫の山とそして細かい道具。よりわかりやすい作りになっていた。

何と言っても大竹しのぶと勝村さんが格段にいい。
勝村さんは堤さんとは違い、すご~~く「みなしご」っぽい。卑屈なところもいっぱいある「ミズヲ」だった。
そして大竹さんも一般人っぽい王女。しぐさひとつひとつがかわいらしく、そしていぢらしかった。

こちらの方が「人間」っていう感じがしたし、だからなおのこと助けてあげたい、と痛切に思った。
脇を固める俳優さん達もそれぞれに個性的ですごくよかった。
蜷川さんやるな…という舞台だった。

最前列で見たわたしはとっても堪能できたんだけど後ろの人はどうだったんだろう?
この舞台は前の方の人の方がおもしろい感じがしたんだけど…。

#これ以上の感想は今はかけません。もう一回行ってから書きたいな…

公演:蜷川版「パンドラの鐘」
場所:シアターコクーン
日程:11月16日〜12月23日
作:野田秀樹
演出:蜷川幸雄
出演:大竹しのぶ・勝村政信・生瀬勝久・松重豊・壌晴彦・宮本裕子・高橋洋・井出らっきょ・大富士・大石継太・森村泰昌・沢竜二 ほか
チケット:XA列左ブロックS席8,000円

Monthly List

Tag Clouds