2006年5月の記事一覧

とある植木屋父親ユタカ(岡森)、娘のアコ(高橋)。娘は父親の仕事を手伝っているのだが、どうもこの二人、関係がよろしくない。植木屋には高校を卒業してずっとここを手伝っている安田(犬飼)と、“自分探し”でバイトを転々とし他にいい仕事が無いかと思っているハチロー(岩本)。それからユタカの同級生加奈子(中原)の引きこもりの息子ノリオ(津村)が従業員の全て。
どういう理由か毎週のように手入れを頼まれている新井家。ユタカの同級生でもある新井(有馬)が家にやってきて「もう家には来ないでくれ」と言う。
とかそんな感じのストーリー。
茅野さんにしては人数も絞り込んで、役者のみなさんも出過ぎず、いい感じで、劇場とフィットした舞台になっていたと思う。

公演:劇団扉座「ユタカの月」
場所:THEATER/TOPS
日程:5月16日~5月28日
作:蓬莱竜太
演出:茅野イサム
出演:岡森諦・有馬自由・犬飼淳治・岩本達郎・中原三千代・高橋麻理・津村知与支
座席:F列真ん中あたり 4,200円
時間:1時間40分ほど

円形をまるまる使った舞台。セットはロッキングチェアと丸椅子。シンプルな舞台装置が素敵でした。
お話の方はというと、父の死により、遺産にと家とその中の家具や装飾品ががタロウに残される。自分を捨てた父の遺産は全くいらない、と弁護士に告げ、しばらくの時間その家で過ごすと、そこに父親の幽霊が登場する。

タロウの父親との和解の仕方とか、自分の中での父親とのケリの付け方とか、申し訳ないんだけど猛烈に「ファイナルファンタジー10」を思い出しちゃってねぇ…。
最後自分の父親を自分の手にかけておしまいにする感じなんかも。

タロウ(=佐藤アツヒロ)がピノキオの一遍を語り出すところは良かったかな。
言いたいのに言えなくて、人とうまく交われなくて、自分の中に別の人格を作り出してしまったタロウ。同情するというよりも、彼のそばにそっといたくなるような感じ。
男の人にとって自分の父親というものは、わたしが理解することができない、たくさんの意味を持っているんだろうな。
父親のくったくのなさとか、タロウが作り出した幻想の友人(ほぼ多重人格の別の人格)のひょうひょうとした感じとかが印象に残った芝居でした。

公演:青山円形劇場プロデュース「MYTH」
場所:青山円形劇場
日程:5月11日~5月28日
作・演出:鈴木勝秀
出演:篠井英介・佐藤アツヒロ・陰山泰・中山祐一朗
座席:Hブロック3列目 5,500円
時間:1時間40分ほど

イケニエの人」以来の松尾スズキ新作、大人計画本公演。

時は1970年。世間では「安保」と騒いでいた年、大阪では「オオチャカ万博」で盛り上がり中の、とある家族。いきなりお父さんの死からストーリーは始まる。
父親の借金を返すためにがむしゃらに働く母ヒトエはボケ進行中。『姉妹』のヒカルとスミレはなんだかもんもんとしてたり、その家の離れに住む革命家のカップルと、借金取りが話に絡んでくる。

そんな感じのストーリー。
個人的にこの公演は当たりだったと思う。確かに軽いテイストにはなっていたけど、あの時代の「がむしゃらさ」がなんかホッとさせてくれた。いつも通り、簡単には泣かせてくれないわけだけど、そのもんもんとさせる感じが好印象だった。
客演の市川さんとか、内田くんとかがいい感じでアクセントとして存在していて良かったな。
ヒカルのオチはさすがに途中で分かっちゃったんだけど、この家族をとりまくたくさんの不幸が却ってこの家族を幸せに見せていたような感じがした。
WOWOWのカメラが入っていたそうなので、テレビでもう一回見てみたいと思う。

公演:大人計画「まとまったお金の唄」
場所:本多劇場
日程:5月4日~5月28日
作・演出:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ・市川実和子・宮藤官九郎・伊勢志摩・村杉蝉之介・荒川良々・近藤公園・平岩紙・内田滋・菅原永二・松尾スズキ
座席:A列センターブロック 5,800円
時間:2時間20分くらい?

感想を書きたいんだけど、書き出せずにいます、「白夜の女騎士」。
ストーリーに言及しないで書けば、松潤は普通、やっぱり勝村が良かった。勝村の信長って「ミズヲ」を思い出させた。その辺りも蜷川さん仕組んだのかもしれない。(深読みしすぎか?)
野田さんがやったというサスケはどんなリズムで話していたのかなーとも思う。松潤の台詞は悪くはないが「野田台詞には聞こえない」。前にもさんざん書いたけども、野田さんのあの台詞はあの独特のリズムあってのモノだねなので、それが聞こえなかったのはやっぱり寂しいなあ、と。

全体的には非常に具象的。というか蜷川の過剰なまでの説明的な演出にちょっとバカにされた気がするのは私だけなのでしょうか?
まあ客層も客層だから分かりやすくしたのかもしれないですけど、ト書き部分をサイドのスクリーンに描くのはさすがにやり過ぎ感が漂います。

アマチュア無線に内ゲバと60年~80年代テイスト。神様と小人と巨人の対立する世界。線が相手と自分を分つ。ヒトとして自分が飛ぶため(=生きるため)のコツ(=骨)を探しにサスケはまさかの友信長とともに富士山へ行く…。
戦争問題、自分探し、などなどがテーマだったのかな?半神とか赤鬼とか猛烈に思い出した。もちろんパンドラもね。
野田の言葉遊びへの客席の異様な反応。切ない台詞に何故か笑う客席に、なんだか自分一人が時空を飛び越えてしまったかのような違和感を覚えました。突っ込んだ感想はまた後で。戯曲探しの旅に出るか…。

公演:白夜の女騎士(ワルキューレ)
場所:Bunkamuraシアターコクーン
日程:5月7日~5月30日
作:野田秀樹
演出:蜷川幸雄
出演:松本潤・鈴木杏・勝村政信・杉本哲太・山口紗弥加・持田真樹・濱田マリ・高橋洋・たかお鷹・立石凉子・六平直政 他
座席:S席2階A列センターブロック 9,000円
時間:2時間30分(休憩20分含む)

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