2001年9月の記事一覧

第三舞台としての公演は初見。封印公演って言うんでかなり気合いを入れて見に行った。

「で、結局何が言いたいんだろう?」
これが正直な感想である。
第三舞台な人たちが演じているのを見ているのは、とても楽しいし、誰もがぴたっとその役にはまっている。
だけど何かが足りないんだよなあ。。。

伝えられない思いをネットやサイコメトリックによって表現していくのだが、これが逆にストーリーの中の人間性を消しているような気がする。
意図的であればいいんだけど、そうとは思えなかった。

それぞれの人の「7年間」への承認が薄い。
成志と京さんが演じている2人以外からは、その7年間の自分の中での葛藤が全然見えてこない。
だから、なんで帰りたいのか、なんで残りたいのか、その辺が不明瞭。
「もうひとつの世界」から来てない人たちが、何故そんなにも、もうひとつの世界へ行きたくなるのか、それもわからん。
山下裕子演じる「テン子」はそんな中でただ人間っぽく、そして感情が伝わってきて泣けた。

「語られなくなった思い」という冒頭の独唱、これがテーマであろうが、それが全然伝わってこなかった。
これで脚本はいいのか?はなはだ疑問。。

公演:第三舞台「ファントムペイン」
作・演出:鴻上尚史
場所:ル・テアトル銀座
日程:10月5日〜10月9日
出演:大高洋夫・小須田康人・京晋佑・池田成志・山本耕史・長野里美・山下裕子・筒井真理子・旗島伸子・高橋拓自・宮下今日子・横塚進之介
チケット:S席6,800円

停滞・混沌・いらだち・諦め。。そんな言葉がこの芝居から伝わってくる。
何かを打破して新しいことを始めようとする人間はここにはいない。
ガラスの動物園を壊さないようにとびくびくするように、変化をしたいのに、変化を嫌う人たち。
そして自分たちを救ってくれると思っていた人はただの通りすがりに過ぎなかった。。。

佐藤オリエが強烈だった。
たぶん、これからこの作品を見るときにはいつも彼女と比較をしてしまうであろう。
自分の過去を完了できない女。
旦那に逃げられ日々の暮らしに喜びはないのに、それでもけなげに生きている振りを続けている。
痛々しい。。
「僕はガラスじゃない!」
その一言が妙に耳に残った作品。
代役の松本きょうじさんもすごく良かったし、富田靖子さんにはガラスの仮面を見たし、みのすけさんの押さえた芝居も良かった。
でもやっぱり亨さんで見たかったな。。

公演:t.p.t.「ガラスの動物園」
作:テネシー・ウイリアムズ
演出:ロバート・アラン・アッカーマン
場所:ベニサン・ピット
日程:9月1日〜9月30日
出演:佐藤オリエ・富田靖子・山本亨/松本きょうじ・みのすけ
チケット:指定7,000円

商業演劇っていうのは、長い間やっていても、あんまし大した違いがないのですなあ。
特に違いは見られないような気が。。
ってなわけで、一応総括。

<ストーリー>
入間家の花子の前さまは、許嫁の吉田松若が謀反で自害したことを苦にして、出家をしようとする。
が、そこに現れたのは、妹桜姫の許嫁「大友常陸之助」だと名乗る吉田若松であった。
若松は、常陸之助を殺し、大友家の家宝、都鳥の一巻を手にして入間家の乗っ取りをたくらんでいた。
そして花子の前ともみ合ううちにその巻物を無くしてしまう。
宝を目当てにいろんな人が集まってきて、そして殺されていく。

といったような感じのストーリーなんだよね。
結局、みんな巻物を我がものにしようとして、殺されちゃう。
で最後は、花子の前が、破ってしまうんだけどさ。
話そのものは、鶴屋南北の三話をまとめたとかで、すごく断片的、すごく単調。
飽きる飽きる。

んなわけで、見るのは必然的に銀ちゃんの芝居になっちゃうわけだわ。
その他の役者さん、ルリ子さんや、多岐川さん、それから大門さんや長門さんなんかの芝居も見ていて、「これが商業演劇をやってきた人なんだな~」と思う。
華があるのよね。みなさん。
それから幽霊をやらせたら、やっぱり新橋さんなわけ。
新橋さんの幽霊は、ほんとに見ていておもしろい。毎回飛ばしっぱなしだし。上手。

さて我らが銀ちゃんは、一生懸命頑張っておりました、というのが印象です。
やっぱり着物の捌き方がまだまだ慣れてない。
いくら、JACとかと公演を打っても、やっぱり刀の扱いが慣れてない。
そんなのを一生懸命克服していこうとする、銀ちゃんのがんばりに惚れましたわ。
何といってもヅラ似合うし、だんだんメイクするのも楽しくなっているみたいで、毎日努力が見られたりね。
だんだん向上していく、銀ちゃんの芝居を見て、母のような気持ちになっちゃったわよ。。(邪道)
千秋楽の「やっと終わった~」っていう表情が垣間見れたのも感慨深し。

商業演劇、またやる日が来るんだろうか。
だとしたら、もっといっぱい今度は拍手できるといいなあ。
ほんとに三ヶ月間お疲れさまでした。
素敵な松若丸をどうもありがとう。

公演:鶴屋南北「悪の華〜灼熱の恋に身を焦がした女たち〜」
場所:帝国劇場
日程:8月31日〜9月25日
作:鶴屋南北
出演:浅丘ルリ子・藤間紫・永島敏行・多岐川裕美・長門裕之・大門伍朗・新橋耐子 ほか
S席12,000円

黒川牛松&吉浦シゲル。去年のサバイバルのDチームの再現である。
かなり、去年は気に入っていたので、友部くんのオカマ先生を加えてどんな出来になっているのか非常に楽しみだったのだが…。

はっきり言って期待はずれ。二人の愛が見えない。。というか分散されまくっている。
コーチである大石先生、そして友部くんのオカマ先生のキャラが立ちすぎていていて、「ロマンス」の調和を乱し、邪魔になっている印象さえ受ける。
四畳半のシーンも、ほんとに「やるか、やられるか」の緊張感がない。だから非常に退屈な印象。

コース台のシーンも無駄に長いし、なんなの?これ?って感じ。
コーチの哲に選手への愛が見えないのも痛いんだよね。。。
友部くんの愛がね、勝っちゃってるのよ。牛松に。。だめじゃんこれじゃ。牛松!頑張ろうよ!

ところどころに目を引くシーンはあります。シゲルが帰ってきたところとか。。
もうちょいなのになあ。。

公演:北区つかこうへい劇団「ロマンス(A)」
作・演出:つかこうへい
場所:三鷹市芸術文化センター
日程:9月13日〜9月16日
出演:黒川恭佑・吉浦陽二・友部康志ほか

確かに脚本は弱い。だけど気楽に楽しめる作品だった。
それぞれのキャスティングもぴったりで、見ているだけで楽しくなる。
特におひょいさんはおいしいところを持って行きすぎ。(爆)

突然の主役降板にかかわらず、見事最後までやりきった山崎裕太は、はまり役と言えると思う(大阪見てないから断言はできないけどね)。
何といっても、銀次郎が「俺にばっかり頼るなよ!」と弱音を吐くシーンに何だか人間っぽさを感じてじ~んとしてしまった。

楽しめる作品ではあるが、やっぱり三時間半は長いよ。。
ロビーで身毒丸のチケット発売してます。もう土日はどこも残ってないけどさ。。

公演:ホリプロ+劇団☆新感線「大江戸ロケット」
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
場所:青山劇場
日程:9月5日〜9月24日
出演:山崎裕太・奥菜恵・古田新太・森奈みはる・石垣佑磨・峰岸徹・藤村俊二 ほか
チケット:S席9,000円

篠井さんのブランチ、そして久世さんのステラ、この姉妹役が本当に良かった。
二人の心の動きが痛いほどこちらへ伝わってきた。
女性としての、そして長女としてのいろんな呪縛から逃げようとしたブランチは、ただ崩壊への道を歩んでしまったが、そんな時に思い出したのは天使のようなステラのこと。
そしてステラのところもスタンリーがいて、自分が思い描いたような天国ではなかった。。
そして嘘に嘘を重ねて、それを暴くスタンリーによって一つ一つ仮面が剥がされて行くにつれ
ブランチは壊れていく。

壊れていく段階がすごく見事に表現されていて、さすが篠井さん!と唸ってしまった。
ミッチーをやった田中さんもすご~くいい感じでした。
スタンリーはもうちょっと「ガキ大将」じゃないところを見せて欲しかったな。

公演:欲望という名の電車
作:テネシー・ウイリアムズ
演出:鈴木勝秀
場所:青山円形劇場
日程:9月7日〜9月24日
出演:篠井英介・加勢大周・久世星佳・田中哲司 他

悪の華、東京二回目。
今回初めて全部見られた。

遠いせいか、銀ちゃんの視線が気になる。
二階まで山崎銀之丞の魅力で圧倒して欲しいわ。。

大門さん、新橋さんの二人がとばしていておもしろい。
みんな役者さんとしては一流だと思うんだけど、何かが足りないんだよね。。
脚本か??

公演:鶴屋南北「悪の華〜灼熱の恋に身を焦がした女たち〜」
場所:帝国劇場
日程:8月31日〜9月25日
作:鶴屋南北
出演:浅丘ルリ子・藤間紫・永島敏行・多岐川裕美・長門裕之・大門伍朗・新橋耐子 ほか
S席12,000円

わたしは個人的にフォーティーンブラスの方が好感もてたな。
いくら演出が違うとはいえ、扉座オールスターって感じがしたし。

今回は、有馬さんと伴さんの二人の話がすごく良かった。
亡霊との愛の告白の場面とか見ていて胸を打たれた。
最後、亡霊が帰っていくときに、伴さんが、すごく嬉しそうに、ハムレットの台詞を言うんだけど、時を越えて、二人の思いがまた通じ合ったんだな、ってほっとした。

今回、高橋くんが大活躍。
まあたかシが器用なのはいつものことだが、若手とベテランがそれぞれいい味を出していて、
これがこの劇団の強みなんだよな、とおもった。
フォーティーンブラスという脚本がすごく気に入りました。

扉座「フォーティンブラス」
作:横内謙介
演出:栗田芳宏
場所:紀伊國屋ホール
日程:8月29日〜9月10日
出演:山中たかシ・岡森諦・高橋麻理・赤星明光・有馬自由・伴美奈子・六角精児・高橋一生 ほか

急遽行けることになって、迷わず選んだ芝居。

特にどこが良くなっている、ということはないが、ハムレットの苦悩が前よりも分かりやすく
届いてきたような感じがした。
でも、やっぱり累央くんは一本調子な感じがして、途中、母との一悶着のところは寝てしまいました。
もうちょっと、苦悩しているだけじゃなくて、それでも何か新しいことをしたい!っていう感じが出てくるといいなあ。
まあ、この若さでここまでハムレットを演じることができるのはすごいと思うよ。
当人頑張ってるし、これからもここに留まることなく、上を目指していって欲しい。

それにしても、フォーティーンブラスって何であんなにかっこいいのかしら。。
かっこいい役のたかシ、大好き。(ってここで告白しても。。)

公演:扉座「ハムレット」
作:シェイクスピア
演出:横内謙介
場所:紀伊國屋ホール
日程:8月30日〜9月9日
出演:佐藤累央・南奈央・金久美子・岡森諦・六角精児ほか

キャラボ初観劇。最初のダンスで、すでに隆也が違う意味で持っていってる。。。

前半は結構緻密な作り方で、キャラもそれぞれに良かったし、「結構いいじゃん」って思ったんだけど、後半がたるかった。

謎解きとか、そういうものに意外性が無く、普通の脚本。
なんかみんなが走っていて、それでいて、舞台に話が残っていない。
それを演じる隆也も、なんだか、余裕がないし、ただ岡田達也くんに目が奪われた。
この人、他の芝居に出ないかしら。。
そしたら見に行くのにな。。。

公演:キャラメルボックス「ミスタームーンライト」
作・演出:成井豊
場所:サンシャイン劇場
日程:8月8日〜9月10日
出演:上川隆也・岡田達也・大内厚雄・岡田さつき・坂口理恵・西川浩幸・中村亮子・前田綾・小川江利子・大森美紀子・細見大輔・岡内美喜子・佐藤仁志・篠田剛
チケット:4,500円

ハムレット自体をちゃんと見たのは初めてだと思う。
でもすご~く難解だと思っていた割にはすごく簡潔にされていて分かりやすかった。
演出家横内さんを尊敬。

ハムレットとその親友ホレイショーとのお話、それから、オフィーリアとその兄レアティーズとのお話が泣ける。。
クローディアスの岡森さんはさすがの貫禄だし、墓堀の六角さんはおいしいところを全部持っていってるところが扉座っぽい。
累央くんのその熱演には、ほんとに拍手を送りたい。
彼なりの若くて、等身大のハムレットを演じていたと思う。
もうちょっと母との関係性が書き出されるといいなあ、とは思ったが。。

個人的に席が最前列だったこともあって、なんだか入り込めなかったところも多数あった。
ハムレットのラスト、フォーティーンブラスが出てくると、場がしまり、
「新しい時代の幕開け」
という感じがして、さすがたかシ♪と思ってしまったのでありました。
フォーティーンブラスは9日に観劇予定。

公演:扉座「ハムレット」
作:シェイクスピア
演出:横内謙介
場所:紀伊國屋ホール
日程:8月30日〜9月9日
出演:佐藤累央・南奈央・金久美子・岡森諦・六角精児ほか

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