せっかく見て来たので感想を書いておきたいと思います。
昭和7年、柴田道場にて空手の修行に精を出す長英(鈴木ゆうじ)、大観(中達也)、義龍(八木明人)の三人。そこに憲兵がやってきて「道場を差し出せ」と迫る。その場は大観と義龍によりどうにか収まるが、師匠の英賢の急逝により、その継承の証である「黒帯」が残される。「空手に先手なし」を教えとする英賢の後を誰が継ぐのか。
というのが大まかなあらすじ。
さて、今回の主演である中さんと八木さんは空手のプロの方で、演技の方は全くの素人、ということで、芝居そのものは上手くはない。でもかなり台詞も少なく、台詞はゆうじくんを始めとした芝居のできる方がカバーしているので、さして気にならなかった。
話そのものは、師匠の教えである「空手に先手なし」を実行する義龍と、「他人と戦いながら技を磨きたい」大観との空手家としての戦いが主なストーリーでとても平凡で陳腐。
でもこの映画はストーリーよりも「空手家の生き様」が重要で、その立ち振る舞いや、戦いが主になっているから、そんなに気にならないというか、プロの空手の前にはそんなのは大して問題ではないという気にさえさせてくれる。
それほどまでに二人の空手は凄まじく、本番中もかなり当たっていたようだが、「本物」だった。最後の死闘は台詞もなく、白黒で7分くらい長回しで撮影され、「命のやりとり」が目の前に繰り広げられた。圧倒的な二人の存在に飲み込まれた。
企画した西さんも「東郷」として出演しているが、東郷と大観の決闘もかなりの見所。