さて千秋楽、さすがに全てがお祭りで細かく変わっているところ続出でした。
それはおいといて蒲田全般に関する感想も含みながら書いてみましょう。(長文ご容赦)
この舞台の隠れたテーマ、それは中村屋の悲哀。
家柄を大事にする余り、それに負けまいとする中村屋。後継者を作るためには、
奥さんに他の人と寝てこいと頼むほどその思いは悲痛です。(この話は「銀ちゃんが逝く」で出てきます)
銀ちゃんが「俺が家柄に頭を下げると思うか?そしたら俺は『銀ちゃん』じゃなくなっちゃうんだよ」と言いますが、この台詞はあまりに酷ってものです。
好きで歌舞伎一家に生まれた訳ではないのに。最愛の奥さんともただただ一緒にいたかっただけなのに。
この時中村屋は銀ちゃんのことを羨ましく思ったでしょう。「俺だってそういう風に生きたかった」って。
中村屋悲しすぎます、その人生。そして愛しすぎる。
つかさんの舞台で好きなところの一つです、悲しすぎる、そして愛しすぎる人の生き様。
この大きなテーマに触れ、本当に涙がこぼれました。
また今日追加になった台詞に出沼さんの「弟が死にました」のところの台詞。
「でもね、弟は死んだんじゃないんです。銀幕の果てで『兄ちゃんがんばれ、兄ちゃんがんばれ』って言ってくれているんです。」
この台詞もまた不器用な出沼刑事の生き方への承認がありますよねぇ。切なくなります。
きっと出沼さんは弟が植物状態になったことで、その人生の何割かを弟をこんな目にあわせた人を憎むことで費やしてきたんでしょう。
その恨みが昇華していった後にはほんとに優しい気持ちが残ってました。うぅ。いい人だ。
蒲田行進曲、この大きな作品のその一つ一つがわたしにいろんなことを教えてくれたし、「人ってほんとにいいもんだなあ」って再認識させてくれた。ほんとにいい作品だと思う。
さてさて千秋楽。
カーテンコールでは真奈美ちゃんが「RUBY」を歌いながら殺陣をしながら登場して、
「彼女は熊本の旅館に嫁ぎ、この世界から引退します」
というナレーションが入ります。
そして記念にとつよしにキスを迫ります。
と、そこへ錦織くんが登場、生まれたルリ子(パンツ一つの友部くん)を連れてやってきます。
「これが女か?」と聞く錦織くんに「もらってくれるんでしょ?」と真奈美ちゃん。場内大爆笑でした。
今度やる「銀ちゃんが逝く」の予告の予告編とも思えるこのカーテンコール。おもしろかった。
公演:RUPプロデュース「蒲田行進曲」
場所:青山劇場
日程:2月4日〜2月20日
作・演出:つかこうへい
出演:錦織一清・草なぎ剛・小西真奈美・春田純一 ほか