井上ひさしさんお得意のなぜか昭和の匂いがする作品。
役者さんも適材適所という感じ。何よりも座長の高畑さんと番頭の村田さんのコンビが見ていて楽しい。
舞台セットは基本的には大和座のみで、見せ方が非常に上手だった。
まあいくらなんでも11,000円は高いと思うが、商業演劇なりの楽しさは満喫できたと思う。

時は明治、場所は浅草。そこに芝居の上演禁止を言い渡された大和座がある。座長の坂東飛鶴は「坂東飛鶴よろず稽古指南所」との看板を出し、稽古の師範をすることでどうにかこうにか生計を立てていた。
昔馴染みから二組の洋式舞踏の指南をお願いされる飛鶴、実はその二組は明日の鹿鳴館でお見合いが予定されている男爵家の跡取りと長崎屋の娘の二組だった。
二組は両方とも主従を入れ替えて、相手の本当の姿を見ようと計画を立てていた。
そして出会った二組。大混乱の始まりであった。

そんな感じのあらすじ。

井上さんの書く脚本って、一人一人の人間が本当にそれぞれの人生を生きているんだな、としみじみ思わせてくれる。井上さんったら本当に人間が好きなんだなー、と見ていて思う。
だから見ていても嫌な気分にならないし、ふとしたところで、すごくハッとさせられたりして。

今回もセンターの四人は実はどうでも良くて(をい)、その周りの人たちが素敵すぎた。
飛鶴といい番頭さんといい、街の人たちと良い、ほんとうに素敵だった。
自分がこの時代のこの浅草に住んでいるかのような、タイムスリップ感も味わった。
登場人物が本当に生きてそこにいるかのような「匂い」が劇場をいっぱいにしていた。

お重がお琴と入れ替わって、その身分の気持ち良さに戻れなくなっちゃうところなんか哀しくてね。
それでも隆次とお琴は自分たちのいる身分を捨てて生きて行こうと思うところも、「絶対うまくいくわけないんだから止めとけ」ってもちろん思いながらも、でもやっぱりうまくいって欲しいわ、と思ったり。
なんか温かい気持ちになれる作品だった。スッキリした。

六角さんの出番もうちょっと増やしてくれよぉ、と個人的には思うけども。(苦笑)

公演:「もとの黙阿弥-浅草七軒町界隈-」
場所:新橋演舞場
作:井上ひさし
演出:木村光一
出演:筒井道隆・柳家花緑・田畑智子・横山めぐみ・高畑淳子・池畑慎之介・辻萬長・村田雄浩・六角精児 ほか
座席:1階7列センターブロック11,000円
上演時間:2時間45分+休憩(2回)45分

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